2024/09/06
外来には、年齢はそれほど高くないのに、難聴の方が来られます。様々な病気が考えられますが、中にはミュージシャンや以前アマチュアバンドに入っていた、という方が少なくありません。これは、音響外傷や騒音性難聴という病気が考えられます。そして残念ではありますが、これらの病気は現代の医療では治すことが出来ません。補聴器を使うことも少なく有りません。そこで、予防とこれ以上進行させないことが極めて大切なのです。今回はある映画と実体験をされた感動的なお話しの紹介をします。
まずは、『アリー/ スター誕生』というアメリカの映画。かなり以前に飛行機の中で見た映画で、人気歌手のレディー・ガガの初主演作で、素晴らしい演技と歌で感動的です。でも、私は耳鼻咽喉科の医者ですので、もう1人の主演のジャクソンメイに注目してしまうのです。
ジャクソンメイは、極めて複雑な家庭状況の中で育ち、寂しさを音楽にぶつけて、人気ロックのバンドをひきいるまでになりました。自らは大音量でギターをひきながら、歌っていました。そしてステージから、離れると酒に溺れる生活。母親が違う兄がマネージャーで、健康に心配して、絶えず忠告をしているが、耳を貸せない。実は、彼は生来片耳が聞こえなかったのです。聞こえる側の耳を酷使し続け、その耳も徐々に聞こえなくなっていく。演奏は輝きを失い、人気はなくなり、落ちていく。これ以上は興味がある方は映画をご覧下さい。
現実には、同様のことがおこりえます。ミュージシャンだった山口タケシさんの実体験の話を下にURLを添付します。大変ショッキングではありますが、そこから立ち直った強い生き様に、私は大変感動しました。
https://4hearts.net/deaf_category/3081/