2021/05/12
当院には他院を受診されても、めまいの原因が分からないという方がたくさん来られます。めまいの診察で最も大切なことは原因を突き止めること。診断しやすい疾患から、難しい疾患まで様々。今日の患者さんもそんな診断のやや難しい１人でした。
40代女性で、数ヶ月前からめまいを繰り返していました。めまいのある日は、朝から1日中ふらつく感じでした。内科、婦人科などの医療機関を回り、異常なし。
めまいの原因の約70%は三半規管などの耳の疾患が原因です。当院で耳からくるめまいの検査をしましたが、やはり異常無し。むしろ耳はかなり良い方でした。この患者さんのめまいは自律神経失調症。特別なストレスが無いかを聞いたところ、お子様が脳の病気になって、車椅子生活で、目が離せないことが分かりました。子供への毎日の介護で、慢性的なストレスと気が付かないうちに疲労も溜まり、特に睡眠の質が悪い日には1日中ふらつくことが多いと考えられました。治療薬はめまいの薬では無くて、精神安定剤や不眠薬。そして、いくつかの生活指導をしました。こども病院には親のための相談窓口が必ずありますので、相談すること。他の人にも助けてもらい、自分だけの時間をつくること。なかなか改善しない場合には、自律神経失調症の薬の処方や心療内科でのカウンセリングを受けて頂こうと考えています。
コロナ下の現代はストレスが特に溜まりやすく、限界まできている方が少なくありません。そして、ストレスを発散出来る様々なことが禁止されていて、身動き出来なくなっています。そんな患者さんには、頑張れ！なんて残酷なことを、私は言えません。充分に頑張っているのですから。むしろ、頑張り過ぎている。
だから、私はそんな患者さんに言うことがあります。
そんなに頑張りすぎなくていいんですよ。今大切なことは、頑張ることでは無く、頑張らない時間をつくること！