横浜市南区弘明寺のアレルギー科・耳鼻咽喉科
いでい耳鼻咽喉科医院

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【No.182】ルノワールとルノアール

昔から、都内には喫茶室ルノアールという喫茶店がたくさんある。現在、都内だけで約100店舗もあるそうだ。たいていはビルの地下にあり、レトロな雰囲気で、特別なメニューはない。でも、何故か人気がある。外資系のカフェやそれを真似たカフェが人気がある中で、ある意味特殊だ。そんな、喫茶室ルノアールで、税理士と面会した。

壁には、印象派の画家であるルノワールの名画の複製画がいくつも飾られている。どこの席に座っても何らかの絵が目に入ってくる。喫茶室ルノアールの名前は、そのルノワールからとった。

ルノワールは、私は楽しい絵しか描かない、と生涯言い続けていた。ルノワールが幸福の画家、と言われる所以である。もう一方の印象派の巨匠のモネとは違い、主に人物を描いた。





そんなルノワールは50代から、関節リウマチを患い、生涯苦しみ続けていた。症状は、激しい痛み、関節の変形、歩行障害など。当時は、今と違い、効果的な治療は全くなかった。現実は、決して幸福の画家とは言えなかったのだ。

高齢になる頃には、関節リウマチのため関節が壊れ、歩くことができなくなり、指も動かせずに、絵筆を握れなくなった。それでも手首に絵筆を縛り付けてまで、ストイックに絵を描き続けた。真から絵を描くのが好きなのだ。使命と感じていたのかも知れない。

ルノワールは自分が好きな絵を描くことに、没頭した。その時間だけが、痛みを忘れさせてくれた。絵のモチーフは、現実とは少し違うが、思いっきり楽しい、夢のような世界。現実を忘れさせてくれるくらいの。





そんなルノワールの名画は、幸せが溢れている。実際よりも明るく、優しい色使い。明るいところや楽しくなるところを探して描いているようにも感じられる。周囲の空気さえ暖かく、幸せそう。なにしろ、影でさえも明るいのだ。絵を見れば、すぐにルノワールの絵だと分かる。

人生の中では、辛いこともたくさん経験する。そんな時にさえ、明るい色もあることを教えてくれる。

ルノアール喫茶室では、私達以外にもビジネスの話をしていた人達が数組いた。他に、1人でゆっくりとリラックスして、コーヒを飲んでいる人も。

やはり、喫茶室の名前は、ルノアール(ルノワール)でなくては、ならないのだ。