2021/04/14
耳が急におかしくなる病気は様々ですが、最近では耳垢(耳あか)が原因のことが増えてきました。 今日来られた4歳くらいの子供は、母親が耳かきしていた後に聞こえなくなったそうです。他の患者さんは、洗髪、水泳、サーフィン、ダイビング後に急に聞こえなくなり、響いて聞こえるようになったと訴えていました。この場合は水で濡れてベトベトになった耳垢が、水圧で押されて、鼓膜に付いたままになっていることが多いです。 耳垢は、主に耳の穴の外側半分にできて、自然に排泄されていきます。ですから、普通は無理に取らなくても構いません。 柔らかな耳垢の方は白人や黒人に多く、日本人では約2割と少なく、耳垢がなかなかスムーズには出てこないこともあります。耳垢の質は遺伝で決まっており、変えることはできません。柔らかな耳垢の方や、耳の穴が狭かったり、湾曲が強かったり、炎症が起こると、耳垢が溜まりやすく、耳垢を取る必要も出てきます。 耳かきをする時に大切なことは押し込まないこと。押し込むと、耳垢が固められ、硬くなっていきます。そうすると、触るだけでも痛みを感じるようになってしまいます。このことが、母親が子供の耳かきをやって失敗する一番多いケースです。先程の母親の場合もそうでした。鼓膜を破ってしまうこともありますが、それほど多くは有りません。 最近の多くの若い方はコードレスイヤホンを使っています。電車の線路に落としてしまうもので最も多いものがコードレスイヤホンで、約50%を占めるそうです。コードレスイヤホンは今までのコード付きイヤホンよりも大きく、重く、外れにくいように、奥まで入れないといけないようになっています。この度に耳垢を奥に押し込んでしまうのです。また、音が漏れないように耳の穴をしっかりと塞ぐため、耳垢が自然に排泄出来なくなってしまいます。長時間の使用を避け、優しく挿入して下さい。 高齢者の補聴器でも全く同様のことが生じます。 ですから、コードレスイヤホンを頻回に使う方や補聴器を使用している方は、定期的な耳かきは必要になります。 ご自身で上手に出来ない場合には、遠慮せずに、耳鼻咽喉科を 受診して下さい。