2021/09/22
今日80代半ばの男性の患者が来られました。1人で暮らし、身なりは清潔で、姿勢はよく、歩行もしっかりとしていました。料理も含め全てを1人でこなしており、頭は良く器用なのでしょう。ただ、心配なのは、まだ車の運転はされて、運転にはかなりの自信を持っていることです。
最近明らかに耳が遠くなっていそうなので、聴力検査を行い、正常聴力の半分くらいまで低下していることが判明しました。本人には 難聴の自覚は全くなし。テレビはヴォリュームを大きくしているし、会話の無い生活なので全く気がついていませんでした。補聴器を勧めましたが、困っていないため拒否され、今回は見送りました。
高齢になっていくと、徐々に人との関わりが減って、いつのまにか難聴になっている自覚に乏しいことが少なくありません。難聴は認知症になる最大のリスクであることが知られています。
私の父も生前そうだったのですが、一部の高齢者は、若い人に迷惑をかけることをとても嫌がります。何かアドレスや注意をしても、「何も迷惑をかけていない」と言われてしまいます。
実は、最近、私が車を運転中に、72歳の女性ドライバーに斜め後ろから突っ込まれ、車体にキズだけでなく穴まで開き、タイヤはパンクしてしまいました。
シニアになると耳だけでなく、目も悪くなり、徐々に機敏な対応も出来なくなっていきます。今、迷惑をかけていないからと言って、これからも同じと言うわけにはいきません。車の事故を起こしてからでは遅すぎることもあります。現在では、若い人の交通事故よりも、シニアドライバーの交通事故の方が問題になっています。
認知症になると、他人に迷惑をかけることにもなります。
ある程度難聴になりましたら、勇気を出して補聴器を付ける決断をして下さい。
補聴器は自分のため半分、他の人のため半分です。